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 省エネのため、こういった細かいものも電源を止めているのだ。    だが鍵はそのリモコンについているので、更に思い直してハンドバッグから取り出し、玄関の鍵を開けた。  慣れた坂道とは言え、軽く汗を流してしまったので、シャワーを浴びようと思ったのだが、父の渋い顔が頭に浮かんで控えることにした。  響子の家族たちも、きっと響子のような思いをしているんだろうと思い、薄笑みを浮かべた。  響子は軽装に着替えて広いリビングに出ると、テレビを見ている祖父母がクーラーをつけて涼んでいる。 「父さんがまたうるさく言うわよ」  響子が言うと、祖父母は首をすくめてすぐさまクーラーを切った。    まだ室内は涼しいので、響子は得した気分になり、祖父母の座っている正面のソファーに腰を降ろし、テレビを見入った。  響子はワイドショーを面白おかしく楽しんでいる。    祖父母も響子に倣い、愉快そうにして身体を揺らしている。 「父さん! またクーラーつけただろっ!」  リビングに足を踏み入れた父が凄い剣幕で祖父を詰った。    祖父は首を竦め、知らん振りを決め込んだ。  響子は大きな柱時計を見た。   「お爺ちゃん、お婆ちゃん、そろそろ時間よ」  祖父母はまさに渋い顔を作り、顔を見合わせ、壁を抜け外に出て行った。
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