8. 花の行方

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 中庭には篝火が焚かれている。    ヘレムをどこへやったのだろうか?    ユキは気が気では無い。 「どうしてこんな事を? ヘレムはどこ? 私をどこへ連れて行くの?」  ユキが必死に尋ねるもイリヤは答えない。  どこか遠くの方を見たままだ。    サッとイリヤが屈みこみユキの耳元で囁いた。 「ヘレムの命はユキ様にかかっています」  ユキが強張った顔でイリヤを見上げる。  イリヤの目線の先には宮殿の警備兵がいた。 「ユキ様。おめでとうございます」   警備兵はユキに敬礼し祝いの言葉を贈った。 「ありがとう」  ユキは言葉少なに答えた。  隣が皇子ではない事に警備兵は気づいたが、宮殿では日中この二人をよく見かけていたので、さほど気にはならないようだ。 「暗いので足元お気を付け下さい」 「ええ」  そうユキが答えると、鈍くなったユキの足を急かすように、イリヤが手を引いた。 「……どこへ連れて行く気?」  ユキが小さく尋ねる。  イリヤは答えない。  イリヤの顔を見上げるが、何を考えているのかわからない。    その表情が少し揺らめく。    イリヤの目線の先にはダーシンがいた。
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