成沢家の密事

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咲人兄が俺の隣に座っている。 そんな当たり前のことが、今は凄く緊張する。 心臓が壊れそうなほど、バクバク言ってる。 だって俺と咲人兄は、 兄弟より深い関係に・・・なったから。 ・・・どうしよう。 何を話せばいいのかわからない。 話をすればいいのかどうかも、わからない。 このまま黙って悠太兄が戻ってくるのを待ったほうが―― 「純哉」 「・・・っ、な、なに?」 「あの・・・ね」 「う、うん」 「身体・・・大丈夫?」 ・・・なんで? それを訊くのは俺の方なのに。 「咲人兄の方こそ」 「俺より純哉だよ」 「俺より咲人兄だってば!」 あ・・・、 思わず咲人兄の顔を見ちゃって、しまったって思った。 頬を赤く染めて、目を潤ませて、 でも恥ずかしそうに目線を逸らしている。 こんな顔見たら、 またエッチなことしたくなっちゃう。 「ご、ごめん」 「・・・うん」 「お、俺は大丈夫だから。咲人兄こそ・・・痛いとか、ない?」 「ん・・・、ちょっとだけ」 ちょっとだけ? ちょっとだけ、痛い?辛い? 「そんな顔しなくても大丈夫だよ」 俺が悲しそうな顔をしてたのか、 咲人兄が気を遣って笑ってくれた。 「ごめん、咲人兄。俺・・・自分勝手に動いて」 「ん、でも、次は大丈夫だよね?」 「う、うん!次はちゃんと咲人兄のこと考えて――」 ――え? 次、って、ことは。 「さ、咲人兄!」 「・・・ん?」 「また、してもいいの?  咲人兄とエッチ・・・してもいいの!?」 「純哉、声」 「あ・・・」 急いで両手で口を塞ぐ。 そんな俺を見て、咲人兄が少し笑った。 「いいよ」 「っ」 「純哉がしたいなら・・・いいよ、兄ちゃんは」 ・・・いいんだ。 また、咲人兄に触れても。 咲人兄と気持ちよくなって、いいんだ。 「咲人兄」 「なぁに?」 「・・・大好き、だよ」 手を伸ばしたら、咲人兄が手を握ってくれる。 照れくさくて笑ったら、咲人兄も笑ってくれる。 ああ、俺は咲人兄のことが大好きなんだって、 実感した。
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