カリフラワー旅行

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アメリカのカリフォルニア州に行きたくなった。 中学の地理の授業で習ったからか、テレビ番組の何かしらで知ったからか、はたまた昨日の晩御飯にカリフラワーが出てきたからかは定かではないが、急に頭の中にカリフォルニアという言葉がよぎり、そして行ってみたくなった。 旅行の準備を簡単に済ませ、いざカリフォルニアへと旅立つ。 マウンテンバッグは衣類でパンパンに膨れているが不思議と重くない。 夢と希望に溢れたカリフォルニアへの足取りは軽い。 カリフォルニア州へとたどり着いた。 空港から出てまず初めに目に飛び込んできたのは、地平線まで続く一直線の道だった。 建物は錆びかけたガソリンスタンドがあるだけで、あとは赤茶けた砂と岩とがゴロゴロとしている。 景色が空の青と、陸の赤で二分されている。 この道路をバイクで走ったらどれほど気持ちが良いことだろう。 幸いなことに近くに黄色い目印のレンタカー屋があり、免許は持っていなかったが車を借りることができた。 さすがカリフォルニア、人の心も広大である。 パジェロミニのような外観の車に乗り込みエンジンをかける。 運転の仕方はよく分からなかったが車はぐんぐんと地平線をめがけて進んでいった。 あぁ、カリフォルニアクオリティー。 今までの人生で心につっかえていたものが全部このカリフォルニアの大地のチリになっていくようだ。 そういえば、昨日の晩御飯のカリフラワーは不味かった。 カリフラワー農家の人は決して悪くない。悪いのは母親の方だ。 変わった色のブロッコリーが売ってたから買ってきたという、冗談か本気かわからないトーンで話してくるものだから反応に困ったのを覚えている。 一方の母親はというと、そのカリフラワーを茹でて皿に乗せドレッシングをかけて食卓に並るのだ。 それじゃあ本当にブロッコリーと何もかわらない。 恐る恐る口に運んだが、ブロッコリーのような歯ごたえがなく口の中でポロポロとくづれていく。ブロッコリーの味を想像して食べてしまうものだから余計に不味く感じてしまった。
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