公園の遊具

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公園の遊具

 ボクのいえの近くに、小さな こうえん がある。  ブランコもすべり台もない。あるのはてつぼうとせまいすなば、あと、地めんにぼうでさしたような形の、乗ってあそべる うまのおもちゃ があるだけの こうえん。  むかしはもっと、色んなものがあったんだって。  でも、古くなってあぶないから、ほかは片づけられちゃった。  とうぜんのように、こうえん であそぶ子は、みんな うまのおもちゃ に乗りたがった。  でもね、うまのおもちゃ は、一人の 女の子 が『アタシのっ』って言って、だれにも乗らせようとしないんだ。  ボクが こうえん に行った時は いつもその子が乗ってる。  乗りたいって言っても聞いてくれなくて、ボクはいつでも見てるだけ。  たまに、ほかの子が乗るんだけど、そういう時は 女の子 が怒ってつきとばしたり髪を引っぱったりするんだ。  みんなが うまのおもちゃ から落ちて泣いてもおかまいなし。  けがをしたって知らんぷりで、にこにこ うまのおもちゃ に乗ってるんだよ。  そうそう。もっとすごい時もあった。  古くなったから、そろそろこれも こうえん から持って行っちゃおうかって、何人かのおじさん達が来たことがある。  その時も 女の子 は怒って、おじさんたちをたたいたりけったり、石を投げたりまでしてた。  ボクは近くにいるのがこわくて、ちょっとはなれた所で見てたんだけど、多分、そういうことを 女の子 はしてたと思う。  おじさんたちが痛がりながらわーわーさわいで、さいごにはどこかに逃げて行っちゃったから。  そのあと、女の子 は勝ちほこったような顔で うまのおもちゃ に乗っていた。  おとなにまであんなことをするなんて、すごくびっくりだ。でも、それでわがままが通るんだもん。  なんだかちょっとだけうらやましいなって思った。
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