四十九日の晩に

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これは数十年前に私の母が体験した出来事。 その日、母は義父の四十九日の法要で父の実家へと泊まりに来ていた。 義兄弟たちに囲まれ気を遣いながらもどうにか一日を終え、いざ寝ようと布団へ入ると。 それほどの時間も経たぬうちに、連れて来ていた生後数か月の姉がグズグズと泣き始めてしまった。 夜も更け、他の親族も寝ている人が多かったため、母は必死にあやして寝かしつけようとするも姉は泣き止むことをせず、それどころかだんだんと泣き方が激しくなる始末。 オムツの交換かと思い確かめるもそうではなく、ミルクを与えても嫌がるようにして全く飲まない。 “こんなこと今までなかったのに。どうして今日みたいな日に限って……” いつもと環境が違うせいだろうか。 そんなことを考えながらひたすら泣き止ませようとあやし続けた母は、結局朝方の四時過ぎまで休むことなく姉の夜泣きに付き合わせられてしまった。
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