国家プロジェクト

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アダルトBOYの出番が近づくと、パソコンを操作していた担当者が恐る恐る横溝に問う。 「横溝技官、オーバーライトですが、『今日出会った』『独身の』『異性と』『一か月以内に』『結婚する』ホンマにこのプログラム構成でええんでっか?」 「この件については少子化社会対策会議で承認されて、親父……いや、自公党幹事長の指示でやっている事だ。お前らが余計な判断をするな」 横溝は戸惑いを見せ、疑念を抱いている部下達に親の持つ権力という威光をかざさなければならないことにやや苛立っていた。 「それにだ、今日ここに来ているのはカップルじゃねぇ。抽選にチケット1枚、自分の分だけ申し込んだ奴らだ。複数申し込んだ人間は皆落選させたからな。 カップルどころか友達もいるのかいないのかわからねぇような人間達だ。 他人との付き合い方もわからねえで、いつも一人で過ごしているような連中は放っとけば歪んでいくだけだ。 これはそういう奴らに対する人助けだ」 言われてみれば確かにこのコンサートの応募条件にはいくつかの不自然な項目があった。 1. 20歳以上の独身者であること 2. 応募人数は男性6000人、女性6000人 3. コンサート中も立ち上がってはならない 「オーバーライトを開始しろ」 「は、はい、オーバーライトします」 不機嫌な横溝の声に担当者は慌てて反応する。
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