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なんて言ったらいいのか分からず話題を変えてしまうと、たかちゃんは可笑しそうにクスクスと笑い出した。
「なに? 俺に話せないことなの? そういえば芽衣子って昔から何か隠そうとするとき、わざとらしく話題を反らしてくるよな」
たかちゃんには、すべてお見通しのようだ。
それでもバカ正直に話すのは恥ずかしくて、頼まれていたものを差し出した。
「たかちゃんこれ、まーくんから預かってきたやつ」
「サンキュ。雅史、今日から合宿だっけ?」
「うん」
そうなのだ。
今日から一週間、まーくんはバスケ部の合宿。
それに合わせて、まーくんの両親は一昨日からふたりで旅行中。
それでまーくんに頼まれたのだ。
たかちゃんに渡してきて欲しいと。
まーくんから預かった袋に入ったものを受け取ると、たかちゃんは大切そうに握りしめた。
「悪かったな、せっかくの夏休み中に。おまけにタイミング悪く検査中で待たせちゃって」
「ううん、全然だよ。たかちゃんの顔見たかったし」
「それは嬉しいね。じゃあ部屋おいで。もらい物のゼリーがあるから」
「やった!」
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