青蛙と赤蛙

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月曜日に世之介さんと吉野窓を見ながら自分のことを言ってしまったことに後悔はしてないけれど、今日から一人で京都をめぐることになったのはそれせいなのかしらと思ってしまう。   2年前から、私は、なんでもそれに結びつけてしまう。 パリの料理学校へ行く前には、私には婚約者がいた。 私は病気になり、子供を授かることができなくなってしまった。 婚約者にそのことを告げた時、あの人の悲しそうなゆがんだ顔が忘れられない。 愛する人の子供を授けることができないことに私は苦しんだ。彼にも苦しい思いをさせてしまった。病は癒えたが、このまま結婚していいのだろうかと私は悩んだ。 身を引くべきだとは思っていたが、それを言い出すことができなかった。 突然婚約者の母親から、会えないかと連絡がきた。 都内の大きな庭園があるホテルのラウンジで会う約束をした。 披露宴の予約をしたホテルだ。 今日みたいに、よく晴れた空が青く冷たい日だった。早めに来て、ラウンジから見える赤い橋をぼんやり眺めていると、 「コウさん、お待たせして申し訳ないわね。 もうすっかりよろしいの?」
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