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上代は、冷笑を浮かべ久遠との闘いのことを思い出していた。
そしてその度に思う、過去の自分のなんと愚かな事か、
過去の自分の誇りは、なんと矮小な奢りであったことか。
上代は思い出すたびに、過去の自分に侮蔑を禁じえない。
しかし、今は違った、今はあの時とは比べ物にならないほどの知識、経験、技術を得ていた。
そして努力ではどうにもならなかったもの、
自分と並ぶ強者をも、あと少しで手に入れることが出来た。
相馬香湖。
上代の瞳に、日野桜の姿は無かった。只一途に香湖に向けられていた。
「…お前と俺が組めば…すべて手に入れられる…」
そう呟いた上代の表情には矢張り、あの冷やかな笑みがあった。
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