1088人が本棚に入れています
本棚に追加
/178ページ
建国50年とか聞こえた気がするが、まだ1年どころか半年が経ったくらいだ。
捏造もここまで来るといっそ清々しい。
「でも、なんか良いこと書いてませんでしたぁ? 私は功績が認められるし、子供もできるしー」
「私も良いことが書いてありましたね。生涯仲睦まじく……ですか」
「陛下と5人の御子、ふふふ。そうなると存分に仕込みを、ふふふ」
雲行きが途端に怪しくなった。
皆がどこか違う次元の夢を見始めたようだ。
お前ら、目の焦点が合っていないぞ。
怖い。
「でしょ? 良い未来でしょ? これが現実になったとしたら……」
「ほぉう。レイラさん、面白い発想をしますねー。その文章が現実になったら、ですか?」
「つまりはタクミ様に踏襲していただければ、そのような幸せが待っていると」
「うふふふ、御子が5人御子が5人うふふふ」
不味い、これ以上は危険だ!
ひとまずは何処かに身を潜めなくては!
「あぁ! 逃げたわよ!」
逃げたわよ、じゃねーよ。
猛獣に囲まれたままジッとしてるわけねぇだろ!
それから街の中をグルグル回って連中を撒こうとしたが、中々上手くいかない。
イリアが簡単に見つけてしまうからだ。
クソッ、無駄な能力を発揮しやがって。
しばらく逃走劇を繰り広げていると、マリィと鉢合わせた。
最初のコメントを投稿しよう!