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「先生」
呼ばれ。
秀王は目の前の彼女を見た。
「私これまでずっと先生を追いかけて考えたり、悩んだり、怒ったり、泣いたりしてきたけれど」
-今日でもうやめにします。
泉夏の突然の宣言に、秀王は動揺を隠せない。
先生の逢いたかった彼女の話ですが-そんな彼の気持ちなど置き去りにしたまま、泉夏は語り出す。
「先生がいなくなった淋しさを埋めようとしてくれる人ぐらい、いたみたいですよ。好きだと言ってくれる人も」
泉夏の両眼が狭まった。
「もう二度と日本には戻って来ない…そう言っていたから。先生を忘れさせてくれるなら付き合ってみようかなって、思ったり」
秀王は何も言えない。
ただ、彼女の声を受けるしか。
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