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華桜の言う『我が為』が自分のことなのか、華桜のことなのか……左近はちょっと考え、後者だなと結論付ける。
そして、本当、何処までもゴーイング・マイ・ウェイな人だなぁと妙な感心をする。
「それで? 先ほど口にしようとした質問は何だい?」
黙って話を聞いていた白夜が穏やかに訊ねる。
「――忘れたっす」
このタイミングで、『どうして白夜は人間ではなく猫なのか』と訊くのは、流石の左近も躊躇われた。
『そんなの穴のせいではないか!』と華桜の雷が落ちるのがオチだし、何となくだが、今はまだそのことを聞くタイミングではない気がしたからだ。
その代わり左近は、「決めたっす、昼は衣笠丼っす」と腕まくりをする。
「きつね丼のことか。それ、お主の大好物ではないか!」
華桜は呆れながらも、「まぁ、いい」と了承し、いつものように注意を促す。
「揚げは甘辛く煮たのを使うのだぞ。いなり寿司に使うやつだぞ」
「当然です!」と左近が素直に頷くと華桜がさらに要求を増やす。
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