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(終電逃して泊めてもらうって、ベタすぎるかな)
B太の家のシャワーを借りながら考える。
(今日ずっと楽しそうだったし、悪く思ってはいないよね?)
とりあえず、この後何が起きても良いように、頭の先から爪先まで綺麗にしておこう。
覚悟を決めて浴室をでる。お風呂先に頂きました。そう声をかけようとして、のどがカラカラなことに気づいた。やっぱり緊張してしまう。
たしか、コンビニで調達したお茶を、B太が冷やしてくれているはず。
冷蔵庫の扉に手をかける。
中には見覚えのある指輪をした手首が転がっていた。視界の隅では薄黄色をした棒のようなものがゴミ箱から飛び出している。それにこびりついた赤茶色のかけらが肉片だと気がついたとき、私は、B太があの日プールの中をじっと見ていた理由を理解した。もちろん、さっきの言葉の意味も。
いつの間に来ていたのか、B太がすぐ後ろで私の名前を呼ぶ。
――何か起きてもい良いように、綺麗にしておいて良かった。
胸に浮かんだのは、恐怖ではなく、場違いな安心感だった。
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