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言霊
おばあちゃんは昔、習字の先生をしていた。そのせいか、毛筆はもちろん硬筆の文字もとても綺麗で、小さな頃は私もおばあちゃんのような綺麗な字が書きたいと、鉛筆書きも習字も一生懸命練習した。
そのおかげで、私の字は友達に比べてかなり綺麗だ。でもたまにそれをやっかまれて意地悪をされることがある。
たまたま私の字が読みやすいから、ノートを貸してくれと男子に言われた。それを『男子に媚びてる』と言われ、貸す筈のノートを破かれたこともあった。
完全に逆恨みとしか言えない状態だけれど、私は彼女達のようにきゃんきゃん人を罵るような真似はしない。ただ、意地悪をされた時には、毛筆でとても気持ちを込めた『呪』という文字を書く。その紙に意地悪をした子の名前を一緒に書いて燃やしている。
そうすると、不思議なくらい自分の気持ちがすっきりするの。
不思議といえば、私が『呪』の文字と同じ紙に名前を書き込んだ子は、それから一週間以内に、必ず怪我をしたり病気になったりしていたなぁ。
昔、おばあちゃんが、『言葉には魂が宿るから、人の悪口を言ったりしてはダメ』って言っていた。だから私は人を悪くは言わない。ただ紙に恨みの気持ちをぶつけるだけ。
それでも呪いは相手の元へ辿り着くんだろうか。
確かめる方法はないし、私自身は単なる偶然だと思ってるから、これからも人に嫌がらせをされた時は、同じストレス解消の方法を続けるつもり。
姿勢を正し、筆を取り、心を込めに込めて書く一筆。
ま、口にしなくても、そこには言霊が宿るくらいのことはあるかもね。
言霊…完
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