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何かを言おうとしていたユーリスさんを、俺も拒んだんだ。
「ちゃんと言えば良かった。卑怯な手で君を手なずけ、側に置こうとした俺が悪い。何も分からず不安な君を押し切って、ずるずると側に置いた俺が悪かった。気持ちも伝えずにいた俺の間違いだった。すまない、許してくれ」
「ユーリスさん」
「愛している、マコト。君の事が好きだから、側にいて欲しかった。手放せなかったのは俺なんだ。理由をつけて旅を長引かせたのは、離れる理由を与えたくなかったからなんだ」
ジワジワと染みこんでいく言葉が、気持ちをくれる。
俺の気持ちは、与えてくれるものでパンパンに膨れていく。
どうしよう、嬉しすぎる。どうしよう、こんなに好きで。
俺もう、今死んでもいい。
「ちゃんと話をしたい。お願いだからもう一度だけ、俺にチャンスをくれないか。ありのままを伝えるから」
「帰っても、いいんですか?」
「勿論だ! あの屋敷を、君の家にしてもらいたい。君が受け入れてくれるまで、何度でも口説くから。気持ちを伝え続けるから」
もう十分、伝わっている。これ以上ないってくらい伝わっている。これ以上は胸が本当に張り裂けそうだ。
嬉しさと幸せに、俺は笑った。笑いながら涙腺決壊した。情けないな、俺は。
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