1 美咲 『お部屋の掃除』

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1 美咲 『お部屋の掃除』

「あー、疲れた。全く、ムダに廊下が長いんだから…さて、後はカチョーの部屋だけ…ん?」  借金を肩代わりしてもらったかわりに、約1ヶ月ほど前から上司、藤城貴彪カチョーのお屋敷で住み込みのメイドをしている四葉美咲。  広いお屋敷の慣れない掃除に足腰をトントン叩きながら、彼女はカチョーの部屋の扉を開けた。 「カチョー、入りますよー…あれ、そっか」  本人はいないようだ。  そういえば、自分が会社を出た時、彼はまだ先輩方と打ち合わせの最中だった。  後にした方がいいのかな。でも…それじゃあいつまでたっても終わらない。  …………ま、いっか!  勝手に自分を納得させ、ホコリをはたきはじめた美咲。  (ん?あれは…)  思いのほか綺麗な部屋に、重箱の隅をつつくように汚れた箇所を探して彼女は、ふと覗いたベッド下に、何かを見つけた。  這いつくばって覗いて見ると、どうやら本か2、3冊、隠すように奥の方に積み重ねられているではないか。  (まさか…)  美咲は思わずほくそ笑んだ。  (入念な隠し方。あんなに奥に置いちゃって…  いくら悪魔のように冷たい男でも、所詮は人の子…  きっとあれは…アダルトテイストなご本ににちがいない!  あれを手にいれ、鬼カチョーの弱みを握ることが出来れば私は______) image=507259463.jpg
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