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「生と死をつなぐ所作?」 目の前に座っている“草間”と名乗る男が口にした言葉を理解できず、僕はそっくりそのまま聞き返していた。 「ああ、そう説明した。」 草間は面倒臭そうに、気怠く返事をした。喫茶店の従業員がオーダーを取りに来た。僕達はアイスコーヒーを頼んだ。エアコンの効いた店内に入っても、しばらくは汗が滲んでくるとても暑い夏の日だった。周囲の客が思い思いに会話を楽しみ賑やかな中、僕たちのテーブルだけは水を打ったように静まり返っていた。そもそも、ついさっき会ったばかりのこの男と、一体何を話せばいいのか、共通の話題といえば数分前に起きた出来事だけであった。僕はこの数十分間に起きたことを、今一度整理してみた。
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