涼風姉妹ですが何か問題でも?

2/4
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
なぜに太陽は昇るのであろう……そしてなぜに私には馬鹿な姉がいるのだろうか。全く神様には困った物だと、部屋の窓から晴天な空を見上げ思わず愚痴を漏らす。 「流愛ぁ!私の可愛い妹は何処においでじゃー!」 どこも何も同じ家に住んでるのだから「家だ馬鹿野郎!」と叫んでやりたいが。今、必死に私を探す馬鹿な姉『真愛』に少しの間でも見付かりたくない私は無視を決め込み、また空を見上げる。 「鳥になれないかな。そうすれば今この瞬間に、あの青空を自由に飛び回る……いや違うな。ここから羽ばたき馬鹿な姉から逃げられるのに……」 そんな事を口にして思わず背中を見たが当然ながら翼など生えてはおらず、これが現実なんだとグッタリと肩を落とす。すると、そこへ私の部屋の前に到達したらしい真愛が外から声を掛けて来た。 「流愛!お前は完全に包囲されている!良い加減諦めて出て来たらどうだ!お前には優しくて可愛い姉が居るだろ!お姉さん泣いてたぞ!こんな事する娘じゃなかった!ってな!だから鍵を開けて出て来るんだ!」 刑事が立て籠る犯人に良く言う台詞を真似てるらしい真愛。あれはドラマでは本当に良い姉や母が居る設定だから、情に負けた犯人は出て来るんだ。そして現実に部屋の外にいるのは馬鹿な姉だ。私が犯人役というのであれば、その情に訴えたやり方では逆効果だ。絶対に意地でも自主なんかしてやるものか。むしろ永遠に徹底的に立て籠ってやるぞ! と、言う訳で真愛のドラマごっこに付き合ってあげる優しい私は犯人役として無視を決め込む。そんな情に訴えたやり方では無意味だと馬鹿な姉に解らせてやる為にも。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!