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移民船とし製造された船は、まだ開港していない宙港に停められていた。
当然人気はない、そんな中に停められた大きな船の近くにアリアは立っていた。
駆けつけたカイルがその姿を見つける。
「カイル」アリアが不安そうに言った「何が起きてるの? エイルも逃げようとしか言ってくれなくて……」
「エイルは?」
「中で出発準備をするって……」
アリアが、既に開いているハッチを指差して言った。
「え。エイルが? 一人で?」
巨大な船だ、コンピュータ制御されているとはいえ、全てのチェックをするだけでも数人がかりだ、そもそもその知識があるのか。
「最近よく読んでた分厚い本、持って入っていったから、それがマニュアルみたい。時間がかかるだろうから、やれるだけやっておくって」
ノイマンから覚えるよう指示があったのだろうと判った。
「とりあえず中へ」
その時、アリアが気がついた。
「何か来るわ……」
アリアの声にカイルは振り返った。
この事態に、宇宙に逃れようとする者か? サリファには連絡が言っているような事を言っていたから、この船に乗るよう促されていたのかも──。
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