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「子供の頃、あなたは俺の髪を撫でてくれた、誰も触りたがらない髪に……でも俺が見ると、さっと手を離してしまって……なんでだろうと思った事があった」
ノイマンは「ああ」と言って目を細めて、震える手をカイルに伸ばした。
そっと、黒髪を撫でた、幼い子をあやすように。
「そんな事が、あったかな……」
「あったんだよ、それを覚えてたから……もう一度撫でて欲しかったんだ……!」
泣き出すカイルの髪を、ノイマンは力を込めて撫でた。
「──よく頑張ったな、カイル。今度はアリアに撫でてもらいなさい」
カイルはこくんと頷いた。
軽くカイルの肩を押すと、早く行けと言わんばかりに手を振った。
カイルは立ち上がると後ずさりした、ノイマンを連れて行きたい──だが。
カイルは深々と頭を下げた、そして背を向け走り出す。
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