暗闇の向こう側

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暗闇の向こう側

  ◇  彼女の冷たい指先が、僕の両の瞼をふわりと覆う。  僕の背中に寄り添う彼女の気配。  それはふわふわと漂う空気のようで、何の重みも苦も感じない。  今日も変わらず傍に居てくれる……  その安堵感だけが、僕の心を支配する。  それが恋だと気付いたのは、随分と時間が経ってから。  僕は彼女に恋をする。  例えそれが、永遠に叶わない想いなのだと分かっていても――
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