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「あのとき、言ったことは俺の最善だったと思っている」  てめぇ! 「ただ、俺の最善が庸輔の最善じゃないし、俺の最善が間違う場合もあるんだと気づいた。だから、俺の最善を押しつけて、ごめん」  お前、本当にやっかいな性格してんなぁ……。  溜息を漏らし、俺は白石の手を自分の腹に当てた。 「保が言ったこと、聞こえない時期でよかったな」  白石の顔が歪み、涙が盛り上がってくる。 「俺も妊娠したこと、言わなくて悪かった。こいつの父親は保だけだ。お前のこと、不充分だなんて、思ってない」  とたん、白石が号泣した。  俺が強く抱きしめると、幼馴染みはしがみついてきた。  白石はずっと、こうやって泣きたかったのかもしれない……。  泣き止んだ白石を風呂に入らせ、俺は昨日準備した野菜と肉をフライパンで焼き、大皿に盛った。風呂から出てきた白石は料理を見て、豪快だなぁと笑った。焼き肉のタレを大皿にどばどばかけようとし、白石に力強くとめられた。  ベランダから見える空は暗い。  那須さんに咎めないよう頼みはしたものの、小塚達は無事だろうか? 「食べないのか?」  白石が焦げた肉を口に運ぶ。 「食べる。食べるけど」  スマホがバイブした。  知らない番号からだ。  俺は基本、知っている番号しかでない。  放っておくが、バイブはやまない。 「出た方がいいんじゃないか?」  白石に言われ、迷いながらスマホを耳に当てた。 「庸輔さん?」 「小塚君?!」  なんで、俺の電話番号を知ってんだ?  無事でよかった、と小塚君。  俺達も無事です、と遠くで小塚とは違う男の声。  俺は、よかった、と胸を撫で下ろす。 「庸輔さんのおかげで退学は免れそうだ。ありがとう」 「礼を言うのは俺の方だ。本当にありがとう」 「俺達、庸輔さんの子どもに紹介してもらえる?」 「もちろん」 「じゃあ、近々、会いに行く」 「え?」 「俺のスマホの電話番号、画面に出てる?」 「ああ」 「登録しといて。じゃ、白石さんによろしく」  一方的に電話を切られ、取り残される俺。  会いに行くって、部屋へ?
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