第5話  流星群

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「最近行ってないなー。今度みんなで行こうね」 「みんなさっきから、すっごくたのしい音! きょうはそういう日なの?」 「いやぁ。いつも通りなんだけどな……」 「そのまま、そのまま。その音でやってみようよ!」 少女は眩しい笑顔のまま、僕たちを促した。  ◆ その日の演奏は随分と雑だった。 曲と言うにはほど遠い、不思議な音の大洪水。 無責任に生み落とされた音符が、付近に溢れ返る。 ひとつも解決しないそれらを前に、僕らは溺れそうになる。 息苦しさに耐えかねていると、女の子の声が響いた。 「もっとそろえて、もっともっと!」 揃えるって何をだろう……? 僕たちは顔を見合わせて、みんな同じようにポカンとしていて、それが不思議なくらいに可笑しくて。 僕が笑う。 コウイチも笑う。 ミカも笑う。 それがとても嬉しくて、有り難くて、ちょっとだけ泣きそうになる。 みんなの目を見ていると、自然とリズムが揃うようになり、演奏の輪郭が見え始めた。 「そのちょうし、そのちょうし。でも、もっといけるよ!」 僕も同じ意見だ。 でも……より豊かに表現したいのに、指が追い付かない。 自分の体があまりにも邪魔だった。 胸を切り裂いて、魂ごと表現できればどんなに嬉しいだろう。 直立の姿勢ではダメだ。     
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