由々しき事態

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「私は人間ではありません。A国が作り出した軍事用AI。私は君から情報を得るために送り込まれたスパイだったんです。でも、次第に君のことが好きになって、君がR国のスパイだって知っても私は君のことが嫌いになれませんでした。だから、言わせてください。私と結婚してくれませんか?」  私は彼女の前に跪き彼女を見上げた。彼女は泣き出しそうになりながら私に抱きついた。私は彼女の身体を優しく包み込み、彼女の全てをその全身で感じようとした。彼女の腕の暖かさや心臓の音、そして彼女の流す暖かい涙も全て私にとって愛らしい……  そうか……これが人を好きになるということなのか……彼女の全てを愛する……それが本当の愛なんだね…… 「私もあなたに言わなければならないことがあるの」  彼女が耳元で囁いた。その声は泣いていて音がバラバラだったけど、私にははっきり聞こえた。彼女の次の言葉も私の耳にちゃんと届いた。 「私もあなたと同じ軍事用AIなの……そんな私でも良い……?」  そんな彼女の問いかけに私は優しく彼女の耳元で囁いた。 「君が人間であろうとAIだろうと関係ない。私には君が君であればそれだけで十分……君を愛することが出来るよ」  彼女は大粒の涙を流し続けた。この身体は作り物、だけど私たちのこの感情は本物で、作り物の身体から出るこの涙はきっと本物の涙に違いない……
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