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第十六話『転入』
なんとなくこの世界のことがわかってきたところで
「タカシは、この後どうする?」
とニコは聞いた。
「とりあえず、生活したいな」
と僕は素直に言った。
そう、とにかくこの世界に適応していかなければならない。
「そっか、迷い混んでここにきちゃったんだっけ?」
とニコが言う。
かなり大きな意味では、それはただしい。
異世界に迷い込んできてしまったのだから。
そして、戻る方法はいまのところ全くわからない。
とりあえず、生き延びていれば、なにか方法が見つかるかもしれない。
「とりあえず、帰る場所もないから、このへんで生活する方法があればいいんだけど」
「タカシは、スキルも使えるし、行くところがないなら、一緒にいてくれるとうれしいけど」
と、ニコは言った。
ほのかに頬が赤くなっているような気がした。
「え?それってプロポーズ?」
と、一緒にいて欲しいという言葉を聞いて、僕は言った。
一生味噌汁を作って欲しいという、セリフよりはわかりやすい、プロポーズの定番の単語といえる。
「ば!ばか!!そんなんじゃないわよ!!私は、タカシがいてくれたら、このまちがもっと平和になるかと思って!!」
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