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厳しい世界
この世界は、あたしにはあまりにも厳しすぎる。
皆一緒の制服。皆一緒の髪型。皆一緒の笑顔。皆一緒の空間。こんな、吐きたくなるくらいのオママゴトに付き合っているのに、この仕打ちはなに。
朝は、挨拶がなんのためにあるのか忘れる。靴が何を受け入れるものなのか忘れる。机は毎朝探しに行くものなのかという錯覚に陥る。
昼は、あたしという存在を忘れる。あたしがちゃんと存在しているのかすら、わからなくなる。あたしの心が、どこにあるのかも。
夜は、明日がくることに嘆く。未来なんていらないと、時計をすべて止めた。それでも沈んで昇る朝日を、何度この目で受け止めたか。
仕方がないんだと思ったこともあった。こんな何もかも同じ空間にいてはおかしくなる。少しでも周りと違うところを晒した瞬間、標的になるのは仕方ない、と。けれど、あたしは自分が彼女たちに何かをした覚えはないし、彼女たちと違うところを晒した覚えもない。
「もう、疲れた」
悪いことをした覚えなど少しもないのに、ひたすらにただ謝っていた最初のころ。自分がどこか壊れていくのを、感じていた。
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