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リムジンが、大きな邸宅までやってきた。
そのリムジンから降りたのは、吉賀である
「ただいま、御爺様」
「おお、達郎か 帰ってきたのか」
「はい、たった今、日本から」
「そうか。今回は、いつまで居れるのじゃ?」
「10日ほどです。 こちらで、休息を取らせていただきます」
「そうか、もっとゆっくりしていければ、よいのにな」
「ところで、小村の孫には会えたのか?どんな、オナゴじやった」
「それが、素敵な 殿方様でした」
「なんと、男であったか。」
「はい。それはそれは素敵な殿方で、お爺さまのお願いでなくても、惚れしまいました」
「そうか そうか それは よいことだ。ならば達郎、女になるか? それとも 2人とも、この国に来て契りをかわすか? この国なら、同性同士の結婚も認めておるからな。」
「しかし、お爺様、小村様に惚れているのは、私の思い上がりかもしれません。もうしばらく時間をいただけますか?」
「なぜじゃ?」
「やはり、共に思いやるようにならなければ、真の夫婦にはなれません」
「そうか、達郎は文武両道、茶道も心得ておる。男としても女としても器量をもっておる。必ず、小村の孫も、お前を惚れるに間違いない」
「はい」
「ちょっと、お義父さん止めてください」
そこへ、スラッとした、背の高い綺麗な女性が入ってきた。
「お母様」
「遙(はるか)、何を言う」
「お義父さん、達郎は男ですよ。なんで、男と結婚するのですか? 美しい達郎は、美しい女性と結婚して、さらに美しい子供をつくるのよ。それが、私の夢なの。」
「いかん、いかん。お互いの孫を結婚させようと、小村とワシの約束じゃ。この約束は絶対じゃ。」
「そんな 大昔の約束なんか無効よ。 もう、いいから、達郎は久々なんだし友達と会ってきたら?」
「はい」
「いい、お義父さん~」
吉賀は、祖父と母の痴話げんかを後に、出て行った。
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