巫女になるとかならないとか

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巫女になるとかならないとか

「今夜は天ぷらなんですけど、お口に合うかどうか」  そう言いながら真理が揚げたての天ぷらを運んできた。 「……いえ、急に押しかけてきたのにすみません」  さっきの自分への対応とは全然違う神威に、ムッとしながらも世莉はそれに箸を伸ばす。  神威は出直すと言ったのだけど、ここは田舎。彼が乗るはずだったバスはもう出た後で、しかもここに観光出来るものも無いからホテルと旅館なんて気の利いたものは無い。タクシーは呼べば来てはくれるだろうが、ホテルのある町までいくらお金がいることか。  それならと尊が『うちに泊まりませんか?』と提案し、彼は『お願いします』と頭を下げた。それは世莉にしてみればちょっとした驚きだった。彼の性格上(それほど知っているわけではないが)断ると思っていたのに。  それにしても、と彼を見た。落ち着いて見るとよくわかる銀髪はキラキラだけど、端正な顔立ちはその髪に負けてない。ちょっと目つき悪いかなーとは思うけど、その瞳は澄んでいて綺麗だ。誰がどう見たってイケメンの範囲内に入ると思う。身長だってこんな田舎では見当たらないほど高いし、脚も長い。  ついでにお箸の使い方も綺麗だ。姿勢がいいのは神主なんて職業だからなのだろうか。 この人、絶対モテるよね。きっと『イケメン神主』とかってキャーキャー言われてそう……。 「見るな」 「……自意識過剰です」  でも口は悪い、と最終結論を下し世莉は唐揚げを頬張る。
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