chap.28 死霊術師の首飾り

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 外に展開させていたゾンビを、ヒメが呼び寄せたのだ。  エージェントたちは空中で急停止した。  ギネ軍の兵たちも、目の前で展開される光景に固唾を飲んだ。  炭団は地上三メートルの高さに浮遊している。  その下に肉塊が次々と集結していく。  大量の肉塊は、やがて楔形をした六つの巨大な結晶を作った。  それらは黒曜石のように冷ややかに、炭団を囲んで屹立した。  まるで炭団が、蜘蛛のような六本の脚を生やしたよう。  ただ、炭団とそれぞれの脚は接続してはいなかった。  磁力の反発で、六つの楔の間に球体が浮いているように見える。  漆黒の球体に走る生物的な赤い文様。  それが六つの楔にも浮き上がった。  俺は理由もなく、接続されたんだと確信した。  途端……!  脚の生えた炭団、もとい漆黒の蜘蛛が動き出した。  その姿に、空中から攻撃している方が有利なのにと疑問に思った。  しかし、そこはやはり戦闘中毒(バトルジャンキー)のヒメ。  六つの楔は地面に突き立つ突起部分に、それぞれ異なる武装を内蔵していた。  姿勢を制御する数本以外の楔が、周囲を苛烈に攻撃した。  移動するごとに攻撃する脚が変わる。     
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