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放浪のコンビニ店員
「放浪のコンビニ店員ですか?」
深夜、棚整理をしながら店長と話しているうちに、そんな話になった。
「都市伝説じゃないですか、それ」
「都市伝説でもいいから、そんな人がいたらコンビニ経営者としては、助かるよ」
店長の顔に疲労が濃く浮かんでいる。
無理もない。朝一番に働き、さらに、入るはずだった人物が時間になっても来ない、連絡もつかないため、急遽、深夜帯にも入ることになったのだから。
「店長、大分お疲れのようです。奥で少し休んでください」
「ありがとう。何かあったら呼んでくれ」
店長はバックルームに姿を消した。
大病院前という立地条件なので、深夜でも来店者がいるのだが、今日は静かだ。
そろそろ病院の準夜勤が終わる時間が近づいている。フライヤーに火を入れ、よく売れる物を揚げた。
予想通り、先生や看護師らが来店した。そのなかに、顔馴染みの先生もいた。
「あれ、神崎先生?」
「やあ。何時ものを頼むね」
医者というよりもホストクラブにぴったりな容貌を持つこの先生は、準夜勤時間帯に勤務することが多い。
奥で休んでいる店長に、ヘルプのベルを押し対応する。
……おかしい。店長がバックルームから出てこない。
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