瞬く間に

7/7
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「おれももう少ししたらいくから…待っていてくれるか?」 "頼むよ”と震える小さな声も震える肩も抱き締めてあげたいのに出来ないのがもどかしい。 やっぱり貴方は私にお願いをするのも、そんな顔をするのも似合わないわ、と遠くなる意識の中静かに思った。 この人は一人じゃ何も出来ないから、手助けをしてあげて欲しい。きっと私がいなくなったら今みたいに悲しみに浸るだろうけど、ずっとそのままじゃダメよ。 私は貴方と違ってせっかちじゃないから、出来るだけゆっくり来て頂戴。待っていてくれるか?の返事は勿論、プロポーズの返事と一緒。 瞬きをする時間さえも惜しいほど、この瞳に焼き付けてきた思い出を胸に私はゆっくりと目を閉じた。 おやすみなさい。先にいって待ってるわね。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!