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準備は内密に進めるからと祖父が戻っていき、祭りに行くのが昼前だというので、朝餉まで寝なさいと言われる。 カタコトと音がし、美味しそうな味噌汁の匂いがしたので起きていくと、紫狐が朝ごはんを作ってくれていた。 「しーちゃん」 「えへへ。なのです!お館様から言われて紫狐も行くことになりました。冬弥様は薄々感づいておられて、男の子ですからねぇと言ってましたー。もうすぐ魚が焼けますから、顔洗ってくださいー」 紫狐が頑張って作ってくれた朝餉は、シンプルながらも、魚が見事に黒くなっており、「皮をとったら身ですから!」と言われる 「あ、忘れる前にこれを」 薄紫の巾着と、茶色の巾着、薄い桃色の巾着と渡され、「冬弥様、お館様、胡蝶様方からですー。路銀として使えとの伝言ですー」 「こんなに?」 パンパンなっている巾着の中にはぎっしりとお金が詰まっており、巾着だけでも良い値がしそうで怖いと重次に見せる。 「何ヶ所かに分けましょう。申し訳ないですが、私の持ってるこの巾着のような一般的なものに移して……」 見せてもらったのは手作りであろう巾着で、お金が三種類分けて入れられるようになっていた。 「祭りで売ってるかな?」 「露天は沢山ありますから、そこで買いましょうか」 計画を立てていると、時間ですよと冬弥が来て、巾着を五つ渡してくれる。 「私は何も聞いてませんし、見てません。旅と言えば、ここからだと秋も冬も近いですねぇ。しかし、今冬は猛吹雪なので南からがオススメですよねぇ。旅は楽しくなければ!っと。これは雪翔が遊びに行く場所を話してるんですよ?あと、雪翔の荷物と重次の荷物は、祭りの真ん中の社の中においてあります……って何のことでしょうかねぇ?」 「冬弥さん……」
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