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プロローグ
12月9日 午前10時
美緒は、自宅のリビングで、親友の一華と電話で話していた。
美緒は、自宅近くの広告会社にデザイナーとして働いている。
でも、今日は休みなので、大学時代の友人で、一週間前に結婚式を挙げたばっかりの親友と朝からずっと電話をしている。
「聞いてよ! 美緒! 昨日もねぇ? 仕事で晩くなった私のかわりい透さんが夕飯を作ってくれたんだけど、その料理がねぇ?」
「美味しくなかったの?」
美緒は一華の惚気に適当に相打ちを撃つ。
「美味しかった! そりゃあもうほっぺが落ちるぐらいに! 透さんって本当、料理の天才!」
「そりゃあよかったねぇ?」
「美緒! 私の話、ちゃんと聞いてる?」
「ごめんごめん。でも、一華は幸せ者だよね? いい旦那さん結婚して、幸せな結婚式まで挙げて。本当幸せ者だよ!」
私もう叶わない。
「美緒も今からでも結婚式、旦那さんと挙げればいいんじゃあん!」
「えっ?」
一華からの予想もしなかった言葉に美緒は驚く。
「だって美緒、あんた永輝さんと結婚式どころか写真すら撮ってないんでしょ?」
「……うん」
小さな声で「うん」と返事を返す。
「親友の旦那さんにこんな事言いたくないんだけど……あんたの旦那、あんたの事愛しるんだよねぇ?」
「愛してると思うよ! この間も、私の為に、料理してくれたり、なんなら、クリスマスは、彼が予約してくれた夜景がきれい見えるレストランでディナー食べる予定になってるから」
「そうなんだ。でも、そこまでしてくれるのに、結婚式は挙げないんでね?」
「……うん。私も永輝からプロポーズを受けた1年前は、結婚式挙げたかったけど、今は、彼と一緒に暮らせるだけで幸せだよ!」
「……美緒」
美緒の決意に一華は、電話越しに彼女の名前を呼ぶ。
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