手紙

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「ごめん一華 永輝さんから電話が?」 「うん! 気にしないで!」 「ホントゴメンねぇ? また電話するねぇ?」  一華との電話を切り上げ、永輝の電話に出る。 「もしもし! 永輝さんどうしたの?」  美緒が電話に出ると、慌てた様子で…… {ごめん美緒! 折角今日仕事休みなのに} 「大丈夫だよ。どうかしたの?」  本当は、一華と電話していたけど…… 「昼からの会議で使う大事な書類が入った封筒を書斎のテーブルの上に置き忘れて} 「大変! 私、会社持って行くよ!」 {いいのか!} 「だって、今日必要なんでしょ?」 {あぁ! でも、せっかくの休日に} 「そんな事気にしなくていいから! じゃあ、待ってて、すぐに待って行くから!」 「ありがとう」 ★  仕事の永輝に大事な資料を届ける為に、彼の書斎に足を踏み入れる。  美緒は、この書斎には、用事がない時はあまり入らない。  そして、部屋の奥に行き、永輝が忘れた資料が置いてある本棚に手を伸ばそうとした瞬間、資料の隙間からぐしゃぐしゃに丸まった一枚の紙が落ちてきた。  美緒は、落ちてきた紙をしゃがんで手に取った。 「もう永輝さん。ゴミは、ごみ箱に捨てな……んん? 何か書いてある?」  ゴミ箱に捨てようと手に取った紙に、なにか文章が書かれている事に捨てる直前で気がつく。  美緒は、文章を確認するする為に、紙を広げる。 「!」 ★ ※手紙の内容 _拝啓 岡宮永輝様_  岡宮永輝さん、突然このようなお手紙をお送りして申し訳ありません。  けれど、どうしても、貴方様にお礼を言いたくて手紙を書かせて頂きました。  あの日、私は、残業でいつもより、帰宅が遅くなっていました。  なので、普段はあまり通らない人通りの少ない裏通りを一人で帰っていました。  そんな時、運が悪く、あのような事件に出くわしてしまいました。  あの時は、岡宮さん。貴方が偶々とはいえ、あそこに現れてくれなかったら、私はきっと……無事ではなかったと思います  岡宮さん。貴方は、私の命の恩人です。  本当にありがとうございました。 p.s  あの日の約束、いつ果たして貰えるんですか? 私、ずっと待ってるんですけど?  ☆ 「…なにこれ?」  手紙を読み終えた美緒は、手紙の内容にショックが隠さない。  手紙には、差出人こそ書かれていないが、多分相手は女性。  あと、手紙の内容も、永輝さんがこの手紙の女性を何らかの出来事から助けて、そのお礼として相手からお礼の手紙がきた。  ここまでは、美緒にも解る。  けれど、手紙の最後に書かれている文章に、なに?  永輝さん? この女性と一体? 何の約束したの?  教えて永輝さん。  私のこと裏切ってないよねぇ?   美緒は、その手紙と書類が入った封筒を持って書斎をあとにした。 ★
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