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放課後は聖也くんが教室まで迎えにきてくれる。
生徒会も放置してる。
「いちごちゃん、帰ろ」
扉口から声をかけられて、私はささっと聖也くんのところへいく。
聖也くんとのキス、どこからどう広まっているのか、みんな知ってるようなものになっていて恥ずかしくて顔を見られたくもない。
「マイ、また明日ね」
「桐生先輩、奥様がかわいいからって学校でえっちなことしちゃだめですからねー」
なんていう声に送り出される。
「いちごちゃんに叩かれるからもうやめとくよ」
聖也くんは苦笑いでそんな言葉を返して軽く手を振って、私の手を握って廊下を歩く。
叩いてやるっ。
私はあいている左手で、ぺしぺし聖也くんの腕を叩く。
「ごめんってば。だっていちごちゃんが僕を認めてくれないから。卓也に見つめられていい気にもなっていたようだし。嫉妬もある。見せつけちゃえって思ったの。あんなのただの嫉妬混じりのからかいだから気にしてあげなくていいよ。僕狙いの子なんて仲良くしなくていいよ。カズくんと違って僕、どっちかっていうと受け身だから肉食系女子に気に入られちゃうんだよね。ズバズバ言ってくれちゃう子っていうか。男狙いまくりっていうか」
聖也くんは私の隣を歩きながらそんなお話をしてくれる。
それがわかるくらい告白されているんだと思う。
こんな下ネタ王子様、私の旦那様なんかじゃない。
受け身というか、女系というか。
オネェじゃないけど、女の子だと思う。
襲うときはがうがう襲っちゃうし。
草食系というのは絶対に違う。
ぺしぺしひたすら聖也くんの腕を叩きながら歩いていると声をかけられて、聖也くんは立ち止まる。
「聖也、生徒会。サボるな。最後まできっちりやれ、生徒会長」
聖也くんが私を迎えにいってから帰るとわかっていたようなところで、待ち伏せのように声をかけてくれたのは原先輩。
原先輩は男らしいと思う。
体育会系肉食男子。
聖也くんとしたことある人。
「マイさんには車で待っていてもらえばいいだろ?もうさすがに校内で迷子にはならないだろ」
ならない。
でも生徒会室が待ち合わせ場所だったから、少し教室で過ごしてから生徒会室にいつもいくのが普通になっていた。
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