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「晶馬くんは〈運命の番〉に会ってみたかった?」
「えっ、うーん、どうだろう。……ううん、会わなくて良かったです。だって僕、その人と出逢えても李玖先輩以上に好きになれる自信がないよ。その人も僕が相手じゃ可哀想です。逢うことは出来なかったけど、きっと今頃はその人にも素敵な恋人がいて、幸せになってるって信じてる。もし近くにいても僕にはもう分からないし、その人の幸せを願うだけだよ」
「晶馬くん……いい子だね。僕の晶馬くんは世界一優しくて可愛くて、ほんと僕は世界一の幸せ者だ」
「うわっ出たよ藤代さんの晶馬ばか」
「藤代さん恰好いいのに、日野の事に関してだけデロンデロンに甘くなって見境なくなるよな」
穴があったら入りたい!
今に始まったことじゃないんだけど、先輩は大げさなんだよ!僕は恥ずかしくて堪らなくなった。真っ赤になった顔を俯いて隠し、黙々とプリンパフェを頬張る。
そんな僕の耳に少し離れた席の話が聞こえてきた。
「……でさ、……で、……え?お前、なに急に泣いちゃってんの?いきなり何?びっくりするわー。なんだよマジ泣きじゃん。彼女にでも振られたの?ハハハ、高村まじウケるww」
何気なくそっちの方を向こうとしたら、李玖先輩が僕の頬を挟み、顔を覗き込んだ。
「晶馬くん、よそ見?浮気しちゃ嫌だー!他の人見ないでっ」
「浮気って。先輩ときどき無茶苦茶言いますよね。もうっ、どこまで本気か分かんないんだから」
「はははっ」
また からかわれた。
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