644人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
彼女の頬を掌で包み込み、低く穏やかであるが真剣味を帯びた声が響く。
「美姫。
貴女はなぜ、私がこの曲を選んだのか……分かりますか?」
突然の質問の意図が分からず、美姫は秀一を見つめたまま小さく頭を振った。
「……いえ、分かりません」
「私の想いを、知って頂きたかったからですよ」
美姫の頬に手を添えたまま、秀一が顔を近づけた。
「許されない関係と知りながら、貴女を愛してしまった私の気持ちを」
「……っ!!」
美姫の瞳孔が、大きく見開かれていく。
最初のコメントを投稿しよう!