突然の……

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  ぼんやり意識を取り戻した私が真っ先に   思い浮かべた事は ――   『あ、西部警察終わっちゃたぁ』   だった。      けど、意識がだんだんはっきりしていくにつれ、   事態は”テレビの再放送がどうとか”    そんな呑気な事を言っていられる場合   なんかじゃない、と分かってきた……。      何なんだろう、この状況は……?   一体、何故?   何故、私は……こんな事になってるんだろう?      幼なじみの又従兄弟の西島さんと   一緒に歩いていた時、   妙な男達に襲われた、ところまでは覚えている。      今、私は埃っぽくて薄暗い倉庫の片隅にいる。      手足が頑丈なロープで縛られているので、   逃げる事は出来ないし。      見張り番らしい数人の男達が反対側の隅っこで   テーブルを囲み賭け麻雀をしている。      壁にかかっている時計が午後9時を知らせた頃、   シャッター脇の小さな出入り口から入って来た   男が、私の前にコンビニのビニール袋を置いた。      その薄い袋から見えたのはおにぎりやサンドイッチ   それにペットボトルのお茶と缶ジュース。      多分、それが私の夕食だとでも言うのか?      けど、手足が縛られたままでは何にも出来ない。   すると、その男が賭け麻雀に興じている男達へ   言ってくれた ――、       「あ、兄貴、この女にメシ食わすんで、拘束解いて  やってかまいませんか?」   「おぉ、好きにしろや。でも、食い終わったらちゃんと  縛っておけよ」   「はい」   男は私を縛っているロープを四苦八苦しながら   解き、小声で囁いた。       「トイレに行きたいと言って」 「え ―― ?」       「さぁ、トイレに行きたいと」 「は、い……あ、あの ――」   最初の声掛けは見事、スルーされた。      さっきの声よりもう少し大きく声をかける。       「あ、あのーっ!」 「なんだよっ! うっせぇな」      返ってきたのは超不機嫌な声。      
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