*◆*一歩*◆*

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 と……2人で門をくぐったのは良かったんだけど、手を繋いでいたからか、周りの視線が痛かった。  私達は手をはなし、また顔を見合わせて笑った。 「今さ、みんな見てたよねぇ~」 「うん、見てた見てた」 「レズと思われてたりして」 「まさかぁ~」  なんて、笑いながら体育館に向かう。 「でも、本当にレズと思われてたらどうする??」  美樹の反応を待っていたら。 「それ! やばいよ……彼氏できなくなっちゃう」  思った通りの返事がかえってくる、そんな美樹から、体育館の方に視線をうつすと、すぐ隣りの運動場に大勢の人。  新入生は運動場で待機だから、あれは新入生だろう。  先生たちが『静かにしなさ~い!!』と一生懸命声を掛けていたけど、友達同士で話していて、静まる気配なし。  それにしても、 なんでこんなに寒いのに、運動場に集合なのか……私は心の中で悪態をついていた。  体に吹きつける容赦ない冷たい風……鳥肌が立つ。  風邪を引いちゃうよ。 「あっちだよ」  美樹が、並ぶ列を見つけて教えてくれた。
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