ひと夏のーー?

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 仕事は建築屋である。といっても大工ではない。大工たちから注文のあった木材やなんかを、現場に届ける仕事をしている。角材なんかを肩に担いで運ぶのは日常茶飯事。なので筋骨隆々だ。  これだけたくましく男らしい自分がモテないのは、モテるだろうと女が遠慮をしているからだと思っている。なんともしあわせな男であった。  豆腐を皿に開けて、その上にキムチを乗せる。それをつまみに缶チューハイを3本やるのが、達夫の夜の日課だった。つまみは時々、違うものになる。近所のスーパーの総菜で、気に入ったものが安くなっていればそれを買う。今日はめぼしいものがなかったので、豆腐とキムチを買ってきた。  飯はあれば食べるが、仕事が終わってから自炊をするのはめんどくさい。というか、家事全般がめんどくさい。だからだいたい、買って食う。朝ごはんも出勤前に、途中の牛丼屋ですます。  調理器具はいちおうあるが、どれもすっかりホコリをかぶってしまっていた。 「はー……あっちぃ」  汗で湿ったTシャツが、肌に張りついている。盛り上がったたくましい胸襟がうっすら透けて、乳首の影も見えている。色の濃いTシャツにすればいいのだが、透けても達夫は気にしない。見られて困るものでもないし、むしろ見て興奮した女に誘いをかけられないかと夢想している。     
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