筒井航《つついわたる》(10)

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筒井航《つついわたる》(10)

近所にコンビニができた日のことを航は今も鮮明に覚えている。 父・康治に手を引かれ、店に入ったことを。 店内は新築特有の不思議な匂いがしていたことを。 「いらっしゃいませ。」 明るく声をかけてくれた、店員の女の子のことを。 黒く長い髪をポニーテールにした女の子。 幼い航が恋に落ちるのも仕方ないほど、眩しい笑顔だった。
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