目覚める。

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 電車の中で居眠りをしていた若い女性が車内放送で目を覚ます事は、別に取り立てて驚く程の事ではないだろう。 「次はみさき公園、みさき公園に停まります」 「やばっ!」 車内放送を目覚まし代わりに目を覚ますや、その若い女性は少し慌てて手周り品を纏め、席を立つとドアーの前まで赴く。 Tシャツとジーンズを組み合わせた服装の背中には、コットン製の小さなリュック。 足にはケンバス製のスニーカーを履いている。 特徴あるロゴから、コンバースのスニーカーである事が窺えた。 しかし不思議な事に、手に持つは和菓子の風呂敷包み。 そして風呂敷包みからは、ワンカップのガラス容器がチョコンと蓋を覗かせている。 手回り品と服装とのミスマッチ故に、彼女が何をしに行くのかまるで見当がつかない。 「出来れば走っている時に来たかったな。 …その頃私まだ生まれてないけど」 そんな事を呟きながら彼女は、やがて電車が定位置に停まり開いたドアーからみさき公園駅のホームに降り立つのであった。
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