よくある別れ話

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よくある別れ話

 出世が決まると簡単に私を捨てた。  誕生日の夜、今人気のフレンチレストランを予約してくれて、楽しい夜を過ごす筈だった。  今日も、これからも、私だけに向けられている笑顔だと信じていた、それを信じて疑わせない、いつものように優しい笑顔だった。  いつものように楽しい話をしてくれた。でも、最後にその口から出た話は、耳を疑うどころか、自分の頭がおかしくなったのかと思うほど醜い内容だった。 (部長職に昇進が決まったんだ。ただ、昇進には条件があって、身の回りをきれいにして来いと言われたんだ。会社は俺達の関係を知っていた。社則に社内恋愛は禁止されているのだから、いつまでも火遊びはまずいだろうと言われたんだ。実は取引先のお嬢さんと縁談話があってね――その会社と資本関係を結んで、営業力を強化していく方針となったのは君も知っているよね? 君も僕の昇進を願っていてくれたじゃないか。喜んでくれるよね)
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