変な味のたべもの

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「みゃお!」  人生に疲れてしまって、私は家から出られなくなってしまった。それから私の友達はコイツだけだ。高校生の夏に拾ってきた背中の一部を除いて真っ黒な猫。  名前をリオと名付けた。  私の事を一人にしないでいてくれるのか、タイプしているキーボードに乗っては遊んでようと言っているように上目遣いに私を見るリオ。 「今日のご飯何か食べる?」  両親が私に会おうとはせずに、いつも部屋の前に食事を置いて私に関わろうとはしない。働きもしないごく潰しの私に会いたくないんだろう。そんな両親より私を慰めてくれるリオが堪らなく愛おしい。私は切り身の魚を食べさせようとしたが、リオは嫌がった。お魚が嫌いな猫というのも珍しい。私はその切り身魚を一口食べて、なんだか変な味がしたような気がした。 「ケミカルな味がするなぁ、この香料がリオは嫌なのかな?」  お味噌汁をすすり、愛の感じられない食事を済ますと今日も私は明け方までネットサーフィンを楽しむ。時間を無駄に消費する事でしか、ぽっかり空いてしまった何かを埋める事はできないのだ。なんだか、こんな体内時計が狂いそうな生活をしているからか、寝て起きてもけだるい事が多い。朝はヨーグルトだけ食べる事で無意味に健康を意識する。ヨーグルトの上にまぶしてある粉っぽいものは砂糖か、太るじゃない。
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