第三話 追い詰められて

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理玖(りく)先輩、来てくれたんですね」  放課後の校舎。三階にある視聴覚室を臆することなく開けると、二年の杉浦が嬉しそうに微笑んだ。  二年のくせに生徒会副会長とかほざいていい気になっている杉浦。シュッとすました綺麗な顔立ち。スラリと背も高い、噂では学年一頭もいいとか言ってたっけ? 絵に描いたような出来杉君は学校でも超絶有名人。イコール生、意、気!  そんな生な粋野郎に呼び出され、尻尾なんか巻いてらんねーから来てやった堂々たる俺! 「三年を呼び出すなんて二年のくせに生意気。ちょーしこいてんじゃねーぞ。あ?」 「でも来てくれたじゃないですか」  杉浦がクスッと笑った。その笑い方が気に入らねぇ。小馬鹿にした感じがプンプン漂う。臭せーんだよ! 俺はイライラしながら睨みを利かした。  こざかしい杉浦は、どこで仕入れたのか俺のSNSへある動画を送ってきやがった。俺が体育館裏のトイレでタバコを吸っている動画。本来ならクールにスルーかましてやるところだが、実は俺の現状はかなりのヤバメ。  三年生の一学期と二学期に、俺は二回ほど喧嘩や素行不良で停学をくらっていた。三回目なにかやらかしたら今度は退学だと生活指導の教師から言われている。流石に退学はねーちゃんにぶん殴られる。問題発覚は絶対に避けたいってわけだ。  あと、この際一発ガツンと杉浦にお灸をすえてやろうってのもある。三年の威厳ってヤツを見せつけてやんねーと。二度と生意気言えないようにな。
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