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「なッ、なんだ、これは!」
驚いて、キギスがアトリの戒めを解くと、炎が消えた。アトリが、体を隠すようにして、身を離す。
「なんなんだ、今のは」
体の痛みに耐えながら、キギスが言った。
「神の怒りだ、キギス」
肌を隠すように、衣を集めながら、アトリがきっぱりと言い放った。
「なん……だと」
「私は既に伴侶を定めた、私の男も、私も、神に守られている、その身、お前の自由にはならんッ!」
キッ! と、きつい眼差しで睨みつけるアトリに、キギスは言葉を失った。
「そう……か、そうだったのか……」
キギスは、がっくりと肩を落とし、その場にぺたりと座り込んだ。
毒気を抜かれたように、キギスは呆然として、アトリを見た。
「やっぱり、お前は、イカルと……」
打ちひしがれるキギスは、心から落ち込んだ様子で、アトリを不安にさせた。
先ほどまで、自分を犯そうとしていた男だが、キギスは幼なじみなのだ。共に育ち、遊んだ、兄のような、弟のような存在。キギスが憎いわけでは無い。しかし、受け入れられるかどうかは、また別の話だ。
「……すまない」
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