異世界に放り込まれた僕の話をしよう

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「それで魔王は倒されたと」 「いや、その勇者様は倒しに行った先で魔王をひと目見た瞬間恋に落ちて、その魔王様が目覚めたと同時に襲いかかってな」 「王子? あれ、って事は魔王様は女の人なの?」 「いや、男だが」  何でもない事のようにタクトが告げた。 「男が男を襲うと?」 「この世界ではよくある事だ。詳しい説明をしてほしいか?」 「……」 「一昔前は、凄く優秀なアルファという、どちらかというと貴族階級などに多い人種と、一般階級のベータ、オメガに別れていて、アルファとオメガにはどうあっても惹かれてしまうものがあると言われていたな。 ちなみに惹かれてしまうのは、ただ単にお互いが恋して夢中になっていたからであって、アルファとベータだから、というのは関係ないと近年の研究で分かっている。 俺もそんな物つけていないし。 多分男同士でで子供ができる魔法薬を、この世界を作った時から初期設定で入れておいたからだろうな。 またアルファやベータ、オメガなどの性質は、その環境でどれだけ勉強などの努力をしたかによって、性格が変わる……つまり、アルファよりもオメガが優れてしまったりといった事が日常的に起こっている。 ただオメガの場合は月に一度発情期があって、その間アルファがつい惹かれてしまう性質はあるらしい。 といってもこれが効果があるのはほとんどが恋愛脳の恋人のみだということも近年の研究で分かっている。 そういった事情もあって今はそんな分類をする人間はいないな」 「そのアルファやらオメガやらは分かったけれど、研究って何ですかそれは」 「そのあたりはふわっとした設定で作ったら、勝手に固定された」 「……」  翔太はあまりの適当さに言葉を失った。  だが呆然としていてもどうにもならないので、聞くことは聞くだけ聞いておくことにした。
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