キツネの嫁入り

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時間が経つにつれて、 そいつの姿がくっきりと見えてくる。 綺麗な顔をした、男。 白っぽい着物?を着てる。 そして犬みたいな耳と、尻尾が揺れてて、 今、うっすらと目が開いた。 ・・・いや、ちょっと待て。 耳? 尻尾? なんかのコスプレか? いやそれにしては、全然違和感がない。 遠目から見ても、 まるで本物のようなクオリティ。 「・・・え?」 そういえば、なんでこっちを見てるわけ? なんで俺と目、合ってるわけ? まさか、俺・・・、 殺される!? 「・・・遥人、さま」 ――は? な、なんで俺の名前・・・、 いやいや、なんで近づいてくるんだよ! こいつ、俺の知り合いか? 昔ヤったやつ、とか。 そんなわけねぇだろ! つーか男となんてヤらねぇし。 うわ、触られた! 「やっとお会いできました。遥人さま」 「・・・・・・」 「ああ、このようなお姿だったんですね。想像以上に凛々しいお姿で」 「・・・・・・」 「ふふ、お会いできて嬉しゅうござい――」 「うわあああ!」 そいつを突き飛ばして、 急いで家の中に入る。 鍵を閉めて、バクバクしている心臓を押さえた。 こ、怖い怖い怖い! なんだよあいつ、やべぇやつじゃん。 いきなり光の中から出てきて、 俺の名前呼びながら触ってきて、     
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