キツネの嫁入り

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頬染めながら、親父に笑いかける紺。 何してんだよ、こいつ。 お酌するなんてホステスと一緒じゃん。 そのあと足とか触られても文句言えねぇぞ、こんなん。 「さて、トイレ行ってくるか」 親父が立ち去りざまに言い捨てる。 「遥人、お前絶対飲むなよ」 「飲まねぇよ。親父のコップに誰が口付けるか」 ったく、この酔っ払いめ。 ため息をつくと、紺がクスッと笑った。 「何笑ってんだよ、お前」 「も、申し訳ありません」 軽く睨むと、紺が慌てて真顔に戻る。 こいつ、いつまで俺にびびってんだよ。 親父と勇雅には笑いかけるくせに。 「貸せよ」 「あっ」 なんかムカツクから、 紺が飲んでるコップを奪って飲む。 あー・・・酒の味。 「よ、遥人さま、お父様が飲んではいけないと」 「親父のは飲まないって言ったけど、お前のを飲まないとは言ってないし」 「・・・ですが、先ほどお父様が」 「お父様お父様うるせぇよ」 ・・・まただ。 ちょっと俺が言ったら、こいつはすぐ悲しそうな顔をする。 そういうの、すげぇ嫌なんだけど。 ほら、そうやって赤くなった目を伏せて、 すぐウジウジしやがって。 でもチラチラこっちを見て・・・、 ・・・・・・、 あれ? なんかちょっと・・・色っぽくね? 「・・・・・・」     
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